司法書士マンションリーガルコンシェルジュ

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司法書士マサルのブログ

原 勝

東京都町田市にある司法書士マンション管理士事務所の代表。
海辺の街に住むのを夢見る趣味多き釣り人。
最近は床板貼ったり屋根塗ったりとD.I.Y.スキル向上中。
1981年8月22日生のA型

共用部分地震保険ってどうなんですかね

こんにちは、司法書士マサルです。

心はいつも揺れています。

地震保険って結構高いですよね。東京都では2019年1月に11.1%値上げとなり、2021年にも値上げが予定されています。その後も値上がりしていくでしょう。

ちなみに地震保険は『建物の修繕・再建』を目的とした保険ではありません。『居住者の生活の再建』を目的とした保険ですので変な期待をするとガッカリします。支払われる保険金はいわゆる『お見舞金』です。

さあ、付けましょうか、外しましょうか、どっちにしましょうか。

顧問先管理組合が以下の地震保険の解約(未更新)を検討していました。

  • 地震保険金額:2億4,800万円
  • 保険料(5年契約):256.68万円

<参考>地域別価格表

※建築年割引は1981年6月以降に新築された建物(新耐震構造)に適用

認定別で支払われる保険金は次のとおりです。

  • 全損:2億4,800万円(保険金額の100%)
  • 大半損:1億4,880万円(保険金額の60%)
  • 小半損:7,440万円(保険金額の30%)
  • 一部損:1,240万円(保険金額の5%)

地震保険では共用部分・専有部分ともに『建物の主要構造部分(柱・梁・その接合部)の損害』が保険事故の要件となっています。

では、過去の認定結果はどうなんでしょうか。とても知りたいです。

ネットで調べまくっても良いデータがありません。ますます知りたくなりました。

早速、契約保険会社に電話です。

当職『〇〇管理組合顧問の司法書士マサルです~。東日本大震災と熊本地震でのマンション限定で保険事故申請件数と区分別認定件数のデータを教えていただけませんか?築年数ごとに分かれていると尚うれしいです。御社との保険契約更新のために必要なんです~。』

保『確認してまいりますので少々お待ちください。』

(・・・長めの保留・・・)

保『お待たせ致しました、弊社ではそのようなデータは開示しておりません。』

当職『保険事故の記録見ればわかることじゃないですか、なんなら当職がその記録見てデータに起こしてあげましょうか?』

保『弊社ではそのようなデータは開示しておりません。』

当職『ちょっとくらい見せてくれたっていいじゃないですか、お願い!ちょっとだけ!!』

保『弊社ではそのようなデータは開示しておりません。』

当職『お願いお願~~~い、ちょ』

プーッ、プーッ、プー

 

【結論】
地震保険事故認定データは公表されていません

 

管理会社に協力してもらい管理物件の認定データを提供していただきました。数が少ないですが非常に参考になります。

<東日本大震災(2011年3月11日)の宮城県内認定結果>

  • 全損 0/27件
  • 半損 6/27件
  • 一部損 21/27件   ※最大震度7で全て新耐震構造

<熊本地震(2016年4月14,16日)の熊本県内認定結果>

  • 全損 0/28件
  • 半損 1/28件
  • 一部損 27/28件   ※最大震度7で全て新耐震構造

なんと全ての新耐震構造のマンションが認定を受けています。また、半損のハードルは高いと考えられます。

また地震ハザードカルテも参考になります。住所を入力するとその地域の特徴や地震発生確率が調べられます。

ここで顧問先管理組合が一部損認定を受けると仮定します。

支払われる保険金は1,240万円、5年間の保険料は256.68万円です。

値上げ分も考慮すると20年間地震保険をかけて何も起こらないと貯金の方が良かったということになりそうです。


 

共用部分地震保険はかけた方が良いんでしょうか?

答えはありません。

個人的には、津波被害が予想される地域であったり旧耐震構造については地震保険をかけた方が良いと思います。それ以外は『考えかた次第』というのが正直な意見です。

地震保険の契約(新規・更新・解約)にあたっては、規約で別段の定めがある場合を除き総会決議が必要なことも注意してくださいね。